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東京高等裁判所 昭和55年(う)104号 判決

主文

本件各控訴を棄却する。

当審における訴訟費用は全部被告人らの連帯負担とする。

理由

本件各控訴の趣意は、弁護人熊谷裕夫、同佐藤優、同遠藤直哉、同今村俊一が連名で提出した控訴趣意書及び控訴趣意補充書に、これに対する答弁は東京高等検察庁検察官検事加藤〓也が提出した答弁書に、それぞれ記載されたとおりであるから、いずれもこれを引用する。

第一  控訴趣意中、不法に管轄を認めた違法があるとの主張について

所論は、要するに、原審裁判所すなわち東京地方裁判所は被告人谷川朋彦を除くその余の被告人らに対する本件兇器準備集合等被告事件については管轄を有しないのに実体判決をする違法を犯したものであると主張し、その理由として、原判決は、この点につき、右兇器準備集合等被告事件により千葉地方裁判所に起訴され、後に同裁判所の移送決定によつて東京地方裁判所に係属するに至つた本件被告人らのうち、被告人谷川については、同被告人がかねて東京都内に住居を有するものであつたのであるから、東京地方裁判所は同被告人に対する右事件につき刑訴法二条一項により管轄権を有するとともに、その余の被告人らに対する各事件は、被告人谷川と共に犯したもので同被告人に対する事件と相互に関連することが明らかであるから、同法九条一項二号、六条により同裁判所が右各事件を併せて管轄する権限を有していたものと認められるとするのであるが、土地管轄の存否は被告人の起訴時を標準として判断すべきところ、被告人谷川の右事件が東京地方裁判所に係属したときには、同被告人の住居も不詳であつたのであるから、同裁判所に土地管轄を生ずる余地はないばかりか、その後に同被告人の住居が東京都内にあることが判明したとしても、遡及的に管轄が発生することはなく、しかも、被告人谷川の右事件については、東京地方裁判所に係属したとされた後に同被告人が少年であることが判明して公訴が棄却され、当初から起訴は存在しなかつたこととなつたのであるから、その余の被告人の前記各被告事件が右のような無効な訴訟係属事件についての関連事件として東京地方裁判所に管轄権を生ずることはあり得ないことであり、したがつて、たとえその後被告人谷川が少年法二〇条の手続を経て再度東京地方裁判所に公訴を提起されたとしても、それによつて当初の違法が治癒されるいわれはなく、結局、東京地方裁判所は被告人谷川を除くその余の被告人の前記各被告事件について管轄権を有しないのに、これを有するものとして実体判決をし、不法に管轄を認める違法を犯したものである、というのである。

そこで、まず、所論に基づいて訴訟記録を調査するのに、被告人谷川を含む本件被告人らに対する兇器準備集合等被告事件が東京地方裁判所に係属するに至つた経過はおおむね次のとおりあつたことが認められる。すなわち、(一)本件各被告事件は昭和五三年四月一六日千葉地方裁判所に公訴の提起がなされたが、同裁判所は同年六月三〇日検察官の請求により刑訴法一九条一項により右事件を東京地方裁判所へ移送する旨の各決定をなし、これらに対し弁護人から即時抗告がなされたところ、同年八月一五日東京高等裁判所において各抗告を棄却する旨の決定がなされて右移送の裁判が確定し、右各事件が東京地方裁判所に係属するに至つたこと、(二)右移送の裁判において東京地方裁判所に右各事件の管轄があると認められた理由は、右各事件は当時千葉地方裁判所に係属していた伊藤みどり、中野美由紀、乙坂眞知子に対する兇器準備集合等被告事件と刑訴法九条一項三号に当たる関連事件であるところ、右伊藤みどりらは東京都内に住居を有するものであるから、同人らの右各事件については東京地方裁判所に管轄権があり、千葉地方裁判所では刑訴法一九条一項により右各事件を東京地裁判所に移送することとするので、同裁判所は本件被告人らの前記各事件についても併せてこれを管轄することができることになるというものであつたこと、(三)前示経過により東京地方裁判所に係属した本件被告人らのうち、被告人谷川については、当初氏名不詳者(逮捕番号成田警察署第二〇七七号)と表示され氏名、住居等が明らかでなかつたが、その後その氏名が谷川朋彦であり、同被告人はかねて東京都内に住居を有するものであることが判明したことがそれぞれ記録上明らかである。

ところで、前示(一)の移送の裁判が、その理由とするところは、前記のとおり、本件各被告事件が伊藤みどりらに対する兇器準備集合等被告事件と刑訴法九条一項三号に当たる関連事件であると認められたことによるものであるが、原判決言渡の段階においてもなお本件被告人らと伊藤みどりらが同条項三号の要件である「通謀して各別に罪を犯した」と言い得るかどうかは、原審の記録上必ずしも明確でないことは事実である。しかしながら、前示のとおり右移送決定は抗告審の判断を経て既に確定しているのであるから、右の点が右記録上明確でないからといつて、被告人らの前記各事件が適法に東京地方裁判所に係属したことに今更疑念を生ずる筋合いではない。また、当初被告人谷川の氏名、住居などが明らかでなかつたことも所論のとおりであるが、その後原審裁判所において右各事件を併合のうえ審理を進めた結果被告人谷川が東京都内に住居を有し、このため刑訴法二条一項により同裁判所が同被告人の事件につき土地管轄を有することが認められるに至り、その余の被告人らの右各事件についても、同被告人らは被告人谷川と共にこれを犯したものであるから被告人谷川の事件と相互に関連し、刑訴法九条一項二号、六条により同裁判所が併せて管轄権を有することが明らかとなつたのであるから、その時点においてはもはや前記伊藤みどりらに対する兇器準備集合等被告事件との関連性を改めて問題にするまでもなく、被告人谷川を含め本件被告人らに対し実体判決をした原判決の判断に誤りがあるとは認められず、前記のとおり当初被告人谷川の住居が東京都内にあることが同裁判所に明らかでなかつたからといつて、これによつてその点の判断が左右されるものとは思われない。

もつとも、被告人谷川に対する右事件については、同年九月一二日東京地方裁判所において公訴棄却の判決がなされたことは所論のとおりであるが、これは右移送後同被告人が少年であることが判明したためであり、その余の被告人らの各事件が前記伊藤みどりらの事件との関連事件として既に移送により同裁判所に適法に係属した後のことであるから、被告人谷川の事件に対し右公訴棄却の判決があつたからといつて直ちにその余の被告人らの事件について既に適法に同裁判所に係属した事実が否定されるわけではなく、しかも、被告人谷川の事件については、検察官においてその後東京家庭裁判所による少年法二〇条の決定を受け、同年一〇月六日再び同被告人を全く同一の公訴事実でその住居地を管轄する東京地方裁判所に起訴し、右事件は適法に同裁判所に係属するに至つたのであつて、その時点で右事件との関連管轄の存在がその余の被告人の事件について改めて明確にされたものであるといえるから、前記公訴棄却の判決を理由に、これらの各被告事件につき関連管轄を否定すべきいわれもないのであつて、論旨は結局理由がない。

第二  控訴趣意中、事実誤認の主張について

所論は、原判決の事実誤認を主張し、原判決は本件集団の行動の推移、態様等に照らし、本件集団全体につき本件各罪についての現場共謀を十分認定することができる旨判示しているが、これは本件集団の行動に関する事実認定を誤り、その結果共謀の存否に関する判断を誤つたものであるとの前提に立ち、これらの点を始めとしてその他原判決の事実認定を多岐にわたつて論難するので、その主要なものについて以下順次検討する。

一  所論は、原判決は、本件集団に属する者らが、所持した火炎びん、鉄パイプ、石塊の数量を大量と判示し、一方において本件集団中火炎びんを所持する者のグループ(第一グループ)の人数は約二〇名、火炎びんと鉄パイプを所持する者のグループ(第二グループ)の人数は約六〇名であると認定しているが、司法警察員ら作成の各写真撮影報告書によれば第二グループの人数は精々三〇名程度であるうえ、右各グループに所属する者が所持した火炎びんや鉄パイプの本数が各自一本宛であつたことは証拠上明白であるから、本件集団に属する者らが所持した火炎びんの総数は五〇本前後、同じく鉄パイプの総数は三〇本前後ということになり、更にまた、本件集団に属する者らが所持した石塊が大量であつたことを認める証拠はないのであるから、本件集団に属する者らの総数が約三〇〇名であることと対比すると、火炎びん、鉄パイプ、石塊の数量を大量と認めることなどできないはずであり、しかも、原判決は、右のとおり火炎びん、鉄パイプ等を所持したグループの人数を特定しているのであるから、火炎びん、鉄パイプの数量の概数を容易に特定できたにもかかわらず漫然その数量を大量と認定したもので、原判決はこれらの点について事実を誤認し、本件集団に属する者らが、大量の火炎びん、鉄パイプ、石塊を所持したことを根拠として共謀の成立を認めたものであるから、原判決には共謀認定の前提事実について事実の誤認があるというべきである、というのである。

しかしながら、所論指摘の各写真撮影報告書によつては火炎びんと鉄パイプを所持した第二グループの人数を客観的に明確にすることはできないというべきところ、当時現場の状況を具に観察していた警視庁警備部管理官警視川原春雄を始め、本件現場において検挙活動等に従事した警察官らの各原審証言及び本件集団に所属していた畑健次郎の検察官に対する供述調書謄本(二通)によれば、原判示のとおり、本件集団約三〇〇名のうち、火炎びんのみを所持した者が約二〇名、火炎びんと鉄パイプを所持した者は約六〇名であつて、換言すれば火炎びんについては約八〇名の者が、鉄パイプついては同様約六〇名の者が所持したことがそれぞれ認められるのであるから、これらの絶対数や兇器としての危険性などを考えれば、原判決がこれを大量と表現したことに何ら不自然、不合理はなく、また、後記のとおり、残余の本件集団の第三グループに所属する約二〇〇名余りの者らの多くが各自投石用の石塊を所持したことも明らかであり、しかも、原判決が弁護人及び被告人らの主張に対する判断の項において判示する火炎びん及び鉄パイプ等の数量は確実といえる最少限度のもので確定的なものではないのであるから、原判決がその数量をことさら明示せず大量と判示したことにも何ら誤りがあるとは認められない。

二  所論は、(一)原判決は、本件集団が火の見やぐら付近の路上等において組織的グループ編成等警察部隊に対する攻撃態勢を整えたことをもつて共謀認定の一根拠とするが、そのような事実を認めるに足りる証拠はなく、実際は横堀街道上を縦に長い隊列でデモ行進してきた本件集団が、火の見やぐら付近において前方に警察部隊を発見したため暫時前進を躊躇して滞留し、その中から火炎びんを所持する者、火炎びんと鉄パイプを所持する者がそれぞれ一団となつて分離して前進し、残余の者は同地点付近に取り残され、結果的に三つのグループが形成されたに過ぎない、(二)また、原判決は、本件集団を、火炎びんを所持した第一グループ、火炎びんと鉄パイプを所持した第二グループ、残余の者の第三グループと区分し、第三グループのうち多くの者が投石用の石塊を準備していたとするが、そのように認めるに足りる証拠はなく、むしろ、二、三〇名の者が散発的に投石を行つただけで、他の後方集団は石塊を所持することもなく単に気勢を上げていたに過ぎない、(三)更に、原判決は、本件集団が、前記のとおり警察部隊の目前で組織的に攻撃態勢を整えたことから、同集団に所属する者全員が火炎びん、鉄パイプ等の兇器の存在はもちろん、これらが警察部隊に対し使用されるものであることを認識し得たとして、これを共謀認定の一根拠としているが、このような事実がなかつたばかりか、本件集団が火の見やぐら付近で滞留中はもちろん、警察部隊と衝突後も、第一及び第二グループと第三グループ後方にいた者との間には相当の距離があつて本件集団の前方の状況を視認しえず、したがつて、右の者らは火炎びん、鉄パイプ等の兇器の存在及びその使用を認識することは不可能であつたから、本件集団全員が右認識をなし得たと推認することは誤りである、(四)次に、原判決は、第一ないし第三の各グループが、終始相互に連繋支援し一体的行動をとつて警察部隊に攻撃を仕掛けたことをもつて共謀認定の一根拠とし、特に第三グループについては第一及び第二の各グループに追従して前進し、これらのグループの攻撃を支援して投石等を行つたと判示するが、第三グループが右のような行動をとつたことはなく、同グループは本件衝突の前後を通じて終始火の見やぐら付近に非組織的な態勢で滞留していたに過ぎないのであり、投石が行われたのも、火炎びんの投てきが終わり警察部隊による検挙活動が開始され本件集団が総崩れになつた後のことである。しかるに、以上の諸点について原判決は前示のように真相と相違する事実を認定判示し、本件集団に属する者らの間に共謀があつたと認めたものであるから、原判決にはこれらの点においても共謀認定の前提事実につき事実の誤認がある、というのである。

よつて考察するに、まず、所論(一)については、前掲関係証拠によれば、前示のとおり、本件集団は火の見やぐら付近の路上及び畑地等において火炎びんを所持した第一グループ、火炎びんと鉄パイプを所持した第二グループ、石塊を準備した第三グループに分かれて隊列を横に広げながら攻撃態勢を整え、まず第一グループが右火の見やぐら付近から横堀街道上を横堀公民館方向へ前進し、同公民館前に待機中の第一機動隊所属の警察官らに対し、所携の火炎びんに点火して投てきし、引き続き、第二グループの者が第一グループの後方から前進し、第一及び第九機動隊所属の各警察官らに対し、火炎びんに点火してこれを投てきし、あるいは鉄パイプで殴りかかるなどの攻撃を加え、第三グループもこれらのグループに追従して前進し、その後方から、前記各警察部隊に対し、所携の石塊を投げつけ、あるいは喊声を上げるなどして、第一及び第二グループの攻撃を支援したことは明らかであつて、右のような本件集団の一連の行動自体からしても右グループ編成は所論指摘のように偶然的なものではなく、指揮者らの指示に基づき警察部隊に対する攻撃態勢を整えるために組織的に行われたことが推認できるばかりではなく、本件集団のうち第二グループに所属していたとみられる畑健次郎は、その検察官に対する供述調書謄本(二通)の中で、横堀街道上を横堀公民館方向へ前進する途中、指揮者と思われる者が「機動隊が阻止しているので押し戻そう。」などと話し、その後火炎びん、鉄パイプが配布され、指揮者の「広がれ。」との合図に従つて同所付近の畑地内に入つた。同畑地内にいた者は火炎びんと鉄パイプを持ち、街道上にいた者は火炎びんを所持し、指揮者の「行け。」という号令で機動隊に向かつて走り点火した火炎びんを投てきし、それが終わると、指揮者が「引け。」との指示をしていた旨述べており、右供述にも徴すると、原判示のとおり、本件集団が、火の見やぐら付近の路上等において、指揮者の指示に基づき警察部隊に対する攻撃態勢を整えるため組織的にグループ編成を行つたことは明らかであるといわねばならない。

次に、所論(二)については、前掲関係証拠、特に横堀公民館前の横堀街道上に駐車した指揮官車上において本件集団の行動状況を双眼鏡を使用するなどして観察していた警察官の前記川原春雄は、原審公判廷において、本件集団の先頭約二〇名が火炎びんを、それに続く約六〇名が火炎びんと鉄パイプをそれぞれ所持し、その後方の集団の約半数位の者らが紙袋やビニール袋を重そうに提げているのが見えたが、その場では右袋の中味について確認することができなかつた。しかし、警察部隊による検挙活動が開始されてからも相当数の投石があつたことや、本件の翌朝現場付近を見分した際、相当数の石塊の在中する紙袋の破れたものが道路脇に放置されているのを発見したことから、後方集団の者らが提げていた前記紙袋の中には石塊が入つていたものと分かつた旨証言し、また、本件集団に対する検挙活動等に従事した警察官らの各原審証言中にも投石があつた旨の供述が見られるうえ、本件集団のうち第三グループに所属していたとみられる八岩まどかの原審証言によれば、同人は横堀道を前進し、宇大団結小屋と火の見やぐらの中間辺りに来たとき、右路上両側付近に相当多くの石が積まれており、「石を拾え。」という指示があつたので、砕石と思われる拳大のごつごつした石二個を拾つたが、同じグループの他の者も石塊を拾つていた。火の見やぐら付近で右グループの者らは左右に広がり機動隊に向つて前進し投石した、というのであつて、右各証言を総合すると、原判示のとおり、第三グループのうちの多くの者が投石用の石塊をそれぞれ手にもつて準備したことは優にこれを認めることができる。所論は、本件集団の規制に当つた第九機動隊第四中隊長大畑勝治の原審証言によると、投石を行つた者は二、三〇名というのであり、前掲写真撮影報告書添付の写真の中で投石の場面が撮影されているのは僅か二、三枚で、それも散発的な投石の情景に過ぎないことなどを根拠として、石塊を所持していた者は第三グループのごく一部であつた旨主張するのであるが、所論のいう大畑勝治の証言なるものは、単に、第一及び第二グループに引き続いて前進して来た者のうち二、三〇名の者が現実に警察官に石塊を投げつけたり、あるいは投げつけようとしているのを現認できたが、第三グループの他の多数の者が手に何を所持しているかまでは分からなかつたというに過ぎないのであつて、右証言は前記認定を左右するに足りないのみならず、本件現場は危険な火炎びんが投てきされるなど激しい動きのある混乱した状況にあつたのであり、その中で採証活動に従事する警察官らにおいても、本件集団の行動のすべてを適確にスチール写真に撮影することは困難であるというべきであるから、投石の現場を撮影した写真が少ないからといつて、それだけで直ちに投石用の石塊を準備したものは極く少数であつたというのは相当でない。

更に、所論(三)については、そのうち本件集団が火の見やぐら付近路上等において組織的グループ編成等の攻撃態勢を整えたものではない旨主張するところは、独自の証拠判断に基づくもので採用できないことについては前説示のとおりであるところ、前掲関係証拠、特に司法警察員作成の実況見分調書によれば、原判示のとおり、本件火の見やぐら付近の土地の形状は、右火の見やぐらの南西沿いに南東の辺田方面から北西方向に通称横堀街道が走つており、同やぐらから百数十メートル北西の同街道沿いに横堀公民館があつて、その間の同街道南西側には同町香山新田九四番地及び同七七番地の畑地ないし荒地が、更にその南西側には窪地が、同街道北東側には同一二四番地の畑地ないし荒地があり、右窪地付近を除き同所付近の見通しは良好であつたことが認められ、しかも、前説示のとおり、本件集団は同所付近で第一ないし第三グループの組織的編成等の攻撃態勢を整え、火炎びん、鉄パイプを所持した第一及び第二グループが本件集団の前部に位置し、同グループが火炎びんや鉄パイプにより警察部隊に対し攻撃を加えた際第三グループの者もこれらに追従して前進したこと、本件現場で使用された火炎びんは数十本にのぼり、そのうち相当数が炎上していることなどに徴すると、第三グループに所属する者においても火炎びん、鉄パイプなどの兇器の存在及びその使用につき十分認識しえたことが推認でき、所論指摘の第三グループに所属していた八岩まどか自身も原審証言中で、火炎びんの炎上するのを見た旨供述していることは右認定を裏付けるものということができる。

また、所論(四)については、叙上説示のとおり、本件の際、現場において警備活動、検挙活動に従事した川原春雄ら警察官の前掲各原審証言を含む関係証拠によれば、第三グループに属する者らは、第一及び第二グループによる警察部隊への攻撃の際、これらのグループに追従して前進し、その後方から右警察部隊に対し所携の石塊を投げつけ、あるいは喊声を上げるなどして、右第一及び第二グループを支援し、このようにして第三グループ所属の者らも、第一及び第二グループと相互に連繋し一体的行動をとつたことは明らかである。(なお、弁護人は、当審第三回公判調書中の証人寺内金一の供述記載部分をもつて上記所論を裏付けるものと主張しているが、そもそも同人は本件現場から一〇〇メートル以上も離れた宇大団結小屋付近で望見していたものであり、その証言内容も具体性に欠け極めて漠然としており、その本件集団の行動等について述べるところは前掲関係証拠から認められる状況と重要な点で符合しないことなどに照らすと、同人の被告人らに対する立場にもかんがみて、右証言はにわかに措信し難いといわなければならない。)

以上説示したとおり、所論はいずれも独自の証拠判断に基づき立論するものに過ぎず、到底採用の限りでない。

三  所論は、原判決は、第二グループの者が警察官らを鉄パイプで殴打したと認定しているが、鉄パイプを所持した者のうち一部の者が逮捕を免れるため鉄パイプを構えるなどこれを威嚇のために用いたことはあるものの、鉄パイプで警察官らを殴打した事実はなく、このことは各写真撮影報告書添付の全写真中にかかる場面を撮影した写真のないこと、岩田貞実を除き鉄パイプで殴打されたとする警察官はなく、しかも、右岩田が鉄パイプで殴打されて受傷したと認めるに足りる客観的証拠は何ら存在しないことなどからも明らかである、というのであるが、警備活動や検挙活動に従事した警察官らは、原審において、本件集団のうち鉄パイプを所持する者の一部が警察官らに対し鉄パイプを振り上げたり、殴りかかつた状況を目撃した旨証言しており、各人の位置が流動的で現場は激しい動きのある混乱した状況にあつたのであり、その間の右のような瞬間的な暴行の場面をスチール写真で的確に撮影することは極めて困難なことであるから、本件現場写真中に前記グループに属する者が鉄パイプで警察官らを殴打している瞬間の写真がなかつたとしても特段不自然とはいえず、更に岩田貞実巡査は原審証言中で、背後から鉄パイプと思われる重量感のあるもので左肩を一回殴打されその部分にしびれが来た旨明言しており、後記のとおり同人の右証言を疑わしいとする特段の事情も認められず、本件現場の状況に照らし、同人は鉄パイプで殴打されたものと推認するのが自然であり、第二グループの者の一部が警察官らに対し鉄パイプで殴打するなどの暴行を加えたこともその証明が十分であつて、所論はこれを容れる余地がない。

四  所論は、本件集団全体につき共謀を認定することは到底できないことであり、とりわけ本件被告人らは全員第三グループに属していたことが明らかであるか、少なくとも第一及び第二グループに属していたことの証明がないものであるから、本件被告人らには原判示各罪につき共謀を認定することは不可能である、というのである。

しかしながら、所論が本件集団全体における共謀を否定する根拠の理由のないことは、以上に説示したとおりであるとともに、前掲関係証拠、特に本件被告人らを逮捕した警察官の各原審証言、押収された鉄パイプ、ライター等の証拠物によれば、被告人らはいずれも本件集団に所属し、前記警察官らによる検挙活動の開始後は現場付近において逃走していたところを逮捕されたものであるが、このうち一部被告人については、その際の所持品に照らして本件集団のうち第二グループに所属していたことが容易に推認できるから、既に説示したとおり、本件各罪につき右集団所属の者らとの共謀を認めることのできることは明らかであり、その余の被告人らのうちにも、同様にその際の所持品からみて、第一又は第二グループに所属していた疑いの強いものもいるが、これらの被告人らを含め残余の被告人らについては、同人らが仮に第三グループに所属していたとしても、同グループの者らと第一及び第二グループの者らとの間に原判示各罪につき共謀の存在が認められることは既に説示したとおりであるから、所論は採用の限りでない。

五  所論は、(一)原判決は、原判示第一の事実について被告人らが多数の警察官らの身体に対し共同して危害を加える目的をもつていた旨判示するが、本件集団は機動隊に対し抗議する意思を有していたものの、その身体に対し危害を加えることにつき集団全体がその目的を共有していなかつたことは明らかであり、(二)また、原判決は、原判示第二の事実のうち火炎びん使用等の処罰に関する法律違反の点につき、被告人らが警察官の身体に対し危険を生じさせた旨判示するが、投てきされた火炎びんは警察部隊のかなり手前に落下し、そのうち炎上した火炎びんも極めて少数であつたこと、警察部隊は極めて冷静に行動し対応に余裕のあつたこと、火炎びんの投げられた時間はほんの一、二分に過ぎなかつたことなどを考えると、警察官らの身体について具体的危険が発生したなどとは到底いえず、原判決はこれらの点について事実誤認を犯すものである、というのである。

しかしながら、叙上認定のとおり、被告人らを含む本件集団に属する者らは予め多数の火炎びん、鉄パイプ、石塊等を所持したうえ隊列を組んで行進し、原判示第一のとおり所定の場所に集合した後、第一ないし第三グループに分かれ、引き続いて警察部隊に対する攻撃態勢を整え、各グループが相互に連繋支援しながら原判示第二のとおりの攻撃に移行したことに徴すると、本件は右集団全体としての組織的犯行であつたことは明らかであり、また、本件集団の構成員が火炎びん、鉄パイプ等の危険な兇器の準備されていること及びそれが警察部隊に対する攻撃のために使用するものであることを互いに認識し得たこととも前説示のとおりであるとともに、原判示第二の犯行態様は、多数の火炎びんを第一及び第九機動隊所属の警察官らめがけて投てきしたり、鉄パイプで殴打するなどの暴行を加え、あるいは石塊を投げつけるなどの行為に及び、相当数の火炎びんを警察官らの身体の近くに落下炎上させ、実際に検挙活動に従事中の第九機動隊第四中隊長大畑勝治の所持していたトランジスターメガホンに火炎びんを命中炎上させ、これにより同人に対し加療約一か月半を要する顔面、両手及び左上腕第二度熱傷の傷害を負わせたものであることなどを考え併せると、原判示第一の犯行に際し、被告人らに警察官らの身体に対し共同して危害を加える目的があつたこと、同第二の火炎びんの使用により右警察官らの身体に具体的危険が発生したことも優に肯認できるから、所論は採用できない。

六  所論は、原判決は警察官らの本件現場における職務の執行を適法と判示するが、警察部隊が横堀街道を横堀公民館方向へデモ行進してきた集団を何の根拠もなく阻止したのが本件の発端であり、先制攻撃を加えたのは警察官にほかならず、再度別の集団が現れるやそれに対する無差別逮捕を開始し、被逮捕者に違法行為があるかどうかなど全く意に介さず、現場に居合わせた者はすべて現行犯人であるとして逮捕し、逮捕後も警察官の個人的感情に任せて被逮捕者に暴行を加えるなどしたのが本件の実態であり、このような警備、検挙活動は明らかに違法といわざるを得ないのに警察官らの職務の執行を適法と認めた原判決には事実誤認がある、というのである。しかしながら、被告人らは予め多数の火炎びん、鉄パイプ及び石塊などの兇器を準備して原判示の道路上及び畑地等に集合し、引き続いて攻撃態勢を整えて、警備活動や違法行為規制等の職務に従事中の多数の警察官らに対し、火炎びんを投てきし、鉄パイプで殴りかかり、あるいは投石するなどの攻撃を加えるという行為に及んだものであり、一方右警察官らは本件集団による攻撃開始直後に兇器準備集合、公務執行妨害、火炎びんの使用等の処罰に関する法律違反等の現行犯人として本件集団の構成員に対する規制、検挙活動に入つたことは明らかであるから、その職務執行は警察法、警察官職務執行法、刑事訴訟法等に照らし適法なものであることは多言を要せず、警察官らの右職務執行の違法、不当をいう所論は、前掲関係証拠に徴すると、独自の証拠評価に基づく誤つた事実認識を前提として警察官らの行為をあれこれ論難するものに過ぎないと認められるから、到底排斥を免れない。

七  所論は、原判決は、岩田貞実巡査が加療一週間を要する左肩甲部打撲の傷害を負つたと認定しているが、被告人らに対し悪意を持ち通院に関し重大な虚為の供述をしている同巡査の原審証言を除いて右事実を認めるに足る客観的証拠は全くなく、右証言は信憑性が皆無であるのに、同巡査の傷害の事実を認めた原判決は事実誤認を犯すものである、というのである。しかしながら、東京警察病院医師岩崎三樹作成の診断書謄本の記載、岩田貞実巡査の原審証言によれば、警視庁第九機動隊に所属し無線担当員として出動した同巡査は、本件当日午後一時三〇分過ぎころ、本件集団に属する者らが、第一機動隊所属の警察官らに対し火炎びんを投てきするなどの違法行動に出たため、指揮官の命令によりその検挙活動に入り、同機動隊の位置する方向から団結小屋の方向へ向かつて逃走中の一名を逮捕しようとして相手の首を両手で押えたとき、いきなり後方から左肩を鉄パイプと思われる兇器により一回強打されて皮下出血を伴う左肩甲部打撲の傷害を受け、その日の夕方東京警察病院において診察を受け三月二九日まで加療のため通院したが、痛みの取れるまでには約一週間を要し勤務も休んだことが認められ、右岩田貞実巡査の原審証言を疑わしいとする格別の事情はなく、原判決が同巡査の傷害の事実を認定したことに誤りがあるとは認められないから、所論は採用できない。

以上これを要するに、所論が原判決の事実誤認として主張するところはいずれもこれを認めるに由なく、原判決挙示の証拠を総合すれば被告人らに対する原判示各犯罪事実はすべて優にこれを認定することができるから、原判決の事実誤認をいう論旨もすべて理由がないというべきである。

第三  控訴趣意中、法令解釈適用の誤りについて

一  所論は、要するに、(一)原判決は、罪となるべき事実において「共謀のうえ」と判示するのみで、被告人らが分担した実行行為を全く摘示していないにもかかわらず刑法六〇条を適用しているところからして、原判決は被告人らに対しいわゆる共謀共同正犯理論を採用して共同正犯の罪責を認めたものといわざるを得ないところ、共謀共同正犯理論は憲法に違反する解釈理論であるから原判決は法令解釈適用の誤りの違法を犯すものであり、(二)原判決は、被告人らが新東京国際空港の建設開港に反対し、あるいはこれに抗議する意思で本件行動に及

んだと認定しながら、原判示第一の事実について刑法二〇八条の二を適用し兇器準備集合罪の成立を認めたが、同法条は本件のように政治目的をもつた大衆運動の一環としてなされた行為には適用できないと解すべきであるから、原判決はこの点においても法令の解釈適用を誤つた違法を犯すものである、というのである。しかしながら、所論(一)については、およそ犯罪の実行々為者と犯行を通謀していることが認められる者につき、直接右実行々為に関与した事実が存しないとしても、右実行々為者の行為を自己の手段として犯罪を行つたという意味において共同正犯の刑責を負うものと解することは、何ら憲法三一条その他の憲法の規定に違反しないというべきであり、このことは最高裁判所昭和三三年五月二八日大法廷判決(刑集一二巻八号一七一八頁参照)ほか累次の同裁判所の判例によつても明らかなところであつて、帰するところ共謀共同正犯理論の適用が憲法に違反するとの主張を前提とする所論は、独自の見解による誤つた前提に基づくものであるから採用できないことは多言を要しない。

次に、所論(二)については、刑法二〇八条の二の兇器準備集合罪の規定が、沿革的にはいわゆる暴力団の勢力争い等による集団的暴力事犯に対する対策として制定されたものであることは所論指摘のとおりであるが、制定された右規定は個人の生命、身体または財産の安全並びに公共の平穏を保護法益とし、これを危くする集団的暴力事犯をひとしく規制することを明示しており、これが暴力団の勢力争い等による事犯にその適用を限られるべき合理的根拠は存在しないのであるから、被告人らの本件所為がいずれも右規定の示す構成要件を充足していることは、既に明らかである以上、それが政治目的をもつた大衆運動の一環としてなされたからといつて、右規定の適用が排除されるべきいわれはなく、所論は結局独自の見解に立脚して原判決を論難するものであるというべきであるから、到底これを容れる余地はない。

二  所論は、要するに、原判決は、一方において、新東京国際空港の建設に関連して、建設予定地選定手続や建設過程における諸手続に関する問題、騒音等の環境に関する問題、燃料運搬に関する問題、空域や関連交通手段に関する問題など種々の問題点が指摘され、批判的見解が存在すると判示して、三里塚空港の欠陥性を認めながら、他方において、被告人らが右空港建設に関していかなる見解を有しようとも、それは内心に属する事柄でありそれ自体自由ではあるが、その見解を外部的に表明する場合にどのような手段・方法が許されるかは自ら別個の問題であるといわねばならず、被告人らの本件行為はその態様においてはなはだ危険なものであるばかりでなく、被告人らの行為によつて侵害された社会的法益、個人的法益等も決して軽微なものとはいえないうえ、本件当時被告人らが判示のごとき所為をとらざるを得なかつたような特段の緊急事情や急迫不正の侵害があつたとも認められず、以上の事情にかんがみれば、被告人らの本件所為は現行法秩序に照らし、到底是認しえないものであることは明らかであると判示して、被告人らの本件各行為につき違法性が阻却されることを否定しているが、原判決の右判断は、違法性阻却事由の存否に関する前提事実の認定を誤り、その結果、違法性阻却に関する刑法の解釈適用を誤つた違法を犯したものである。すなわち、日本国憲法は明文の規定こそ設けていないけれども、同法一一条、一二条の規定に照らし内在的に抵抗権を認めていることは明らかであり、また、その行使は緊急行為としての超法規的違法性阻却事由の要件に従うべきものと解せられるところ、被告人らの本件各行為は右にいう抵抗権の行使としてなされたものであるから、被告人らの右行為については超法規的違法性阻却事由が認められるべきである。すなわち、被告人らは、違法・不当な新東京国際空港の強行開港に反対し、右強行開港を目的として警察機動部隊によりなされたいわゆる横堀要塞に対する違法な差押、強制撤去、実力行使等に抗議し、正当な抵抗を行つている者を支援する目的をもつて本件行動に出たのであり、その目的において正当なものであつたうえ、被告人らの右行為は、政府、空港公団あるいはその手足となつた警察機動部隊の暴力行為は弾圧に抵抗するためになされた正当な防衛行為であつて手段の相当性にも欠けるところがなく、しかも、被告人らの右行為により侵害された法益に比し、被告人らが擁護しようとしたのは、右空港建設に伴う航空機騒音、ジエツト燃料輸送、空域調整問題、農業・農地の破壊等により侵害の危険にさらされる空港周辺の農民や住民の生存権にかかわる法益であるから、これが被告人らの行為により侵害された法益に比して優越していることは明らかであり、更に、現在まで一五年にわたる三里塚闘争の経過の中で、憲法に保障された司法的解決などあらゆる合法的救済手段が実効性を持たなかつたことに照らせば、前記政府、空港公団、警察機動部隊等による違法・不当な公権力の行使に対し、これを排除するためには、被告人らが本件のような一定の実力を行使する以外に他に代替的手段はなかつたうえ、右行動に出ざるを得ないという緊急の状況が存在したことも明らかであるから、被告人らの本件各行為については、超法規的違法性阻却事由が存在すると解すべきであるのに、これを排斥した原判決には判決に影響を及ぼすことの明らかな法令の解釈適用の誤りがある、というのである。

よつて考察するに、新東京国際空港の建設に関連して種々の問題点が指摘され、批判的見解が存在すること、被告人らも右空港建設に反対し、あるいは抗議する意思を有したものであること、そして、被告人らが右空港建設に関していかなる見解を有しようとも、それ自体は自由であるが、これを外部に表明する場合に許される手段、方法については、自由主義及び民主々義の社会体制の下においても、無制限でありえないことについては、原判決の説示はいずれも正当である。なるほど、講学上いわゆる抵抗権という概念の存在することは所論のとおりであるとともに、右抵抗権なるものは実定法上義務とされているところを、自然法など何らかの実定法以外の秩序に基く義務を根拠として否定することを正当化しようとする主張であると解せられるところ、抵抗権についてはその行使が是認される客観的基準を明確にすることはその性質上困難であつて、その行使は必然的に主観的に流れ恣意的に走つて遂には法秩序そのものを否定し、社会的に無秩序を招来する危険性を包蔵しているため、憲法上これを認めるについては未だ十分な承認を得ているとはいわれないという根本問題があり、また、本件の場合、被告人らが守ることを拒否した実定法上の義務というのが具体的に何を指しているのか、あるいは、右実定法上の義務を守ることを拒否することを正当ならしめる実定法以外の秩序及びこれに基く義務というのは何をいうのかなど、その行使の正当性を明らかにする理由が具体的でないという問題もあるが、これらの点を暫く措き、仮に所論に沿つていわゆる抵抗権が憲法に内在すると考え、あるいは所論を超法規的違法性阻却事由の主張と考えるとしても、全証拠を検討しても、本件当時被告人らが前記空港の開港に反対するなどの目的のためには本件各所為以外の行動を取ることが不可能または著しく困難であつたとか、右の行為に出ることがその際における情況に照して緊急を要するやむを得ないものであつたということは、到底これを認めることができない。しかも、被告人らは原判示のとおり、約三〇〇名の多数で火炎びん、鉄パイプ、石塊などの兇器を準備して集合し、グループ編成をもつて組織的積極的に右兇器を用いて職務に従事中の警察官らに暴行を加え、警察官らの身体に危険を生じさせるとともに、その職務の執行を妨害し、うち二名に傷害を負わせたのであるから、その手段、方法や法益侵害の程度等に照らしても、被告人らの本件各所為が法秩序全体の見地から是認されるものとは到底考えられず、従つて、その違法性を阻却すべき事由があるとすることはできないから、所論は採用するに由がない。

以上のほか、多岐にわたり原判決を論難する所論について逐一検討しても、原判決に所論のいう法令の解釈適用の誤りがあるとは認められず、論旨はいずれも理由がない。

よつて、刑訴法三九六条により本件各控訴を棄却し、当審における訴訟費用は同法一八一条一項本文、一八二条を適用してこれを全部被告人らに連帯して負担させることとして、主文のとおり判決する。

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